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言葉の美しさを引き出せる通訳を目指して・・・     通訳兼EAとしてアメリカ人社長をサポートする日々を送っています☆


by nKristin

1ヶ月ぶり

1ヶ月前に元ボスを本国に送り出して以来、私の脳内通訳機能は完全オフ。使う必要がないと、通訳技術は驚くほどにすっかり脳みそのどこかに隠れてしまう機能だってことに改めて気づく今日この頃。

ある日の夕食にボンゴレを作りながら「通訳ってアサリと反対だなぁー。アサリはつつくとすぐ引っ込むけど、通訳の脳みそはつついてないとすぐ引っ込む・・・。」なんて無駄なイマジネーションが暴走する。

この1ヶ月、週に1~2回程度簡単な通訳の機会はあったものの、それほど気合を入れなくても済むものばかり(なんてプロフェッショナル精神に欠けた発言・・・)だった。今朝までは。




今朝商談でアメリカ人の訪問があることは前に聞いていたが、先方の通訳者も同行するとのことだったので、その話は「あそー」と右から左へ素通りして消えていた。ところが、昨日になって「通訳者が同行できなくなりました。御社で手配できませんか?」と。会社に残っている最後の通訳者としては避けられない。「げ。何の商談?!この会社何やってるの?誰来るの?うちとはどんな関係?分野は?!?!」年明けに突然事業所の通訳から本社社長室秘書に異動した私は社長室関連の背景知識ゼロ。急にしゃかしゃか勉強して、久しぶりに脳内の『通訳機能の窓』が開いた。

幸いなことに1日前に予告していただいたので、十分に準備の時間を取れて本当に助かった。通訳者はいきなり何でも訳せる機械ではないですからっ




1ヶ月ぶりのオフィシャルな場面での同時通訳、直前はやはり少し緊張した。でも終わった後の爽快感は懐かしくて、自然と喜びが沸いてきた。話し合いに意味があったとか交渉が難航したとか参加者が感じている時、それを誰よりも敏感に感じるのは通訳者かもしれない。私たちは参加者から出る雰囲気をするどくキャッチしていると思う。

私は、実りのある会話となった時のあの充実感が好き。もちろん毎回そうではなくて、思いっきりマイナスの空気を吸い込まされる時もあるけど、もともと言葉の壁がある人たちのコミュニケーションをつなげるということは、ちょっとだけ不可能の可能に変えたような喜びがある。そんな大げさなものではないけどね。まぁ、『喜び』と言うときれいすぎるかな。要は『自己満足』の世界なんだと思う。「参加者も満足しているからうれしい。自分もうまくパフォーマンスできてうれしい。」そんな小さな『自己満足』が長く続けていける重要な要素なのかもしれない。

今日の通訳後の小さな喜びは、大切な瞬間だったかな。なぜ私はこの仕事を選んだかを思い出した。去年は忙しすぎて、「もうみんな少しくらい英語喋ってくれればいいのにぃ。」とか「そんなもん訳してるヒマなんかねー!」とか、よく心の叫びが出てたからねぇ。ほんと、すんません。そのまま通訳のない毎日に突入して、通訳することのシンプルな喜びをすっかり忘れていた気がする。

初心に返る・・・、このことですね。
by nKristin | 2008-01-17 00:08 | 通訳と翻訳